綜説
Flickering ligktのfusion frequencyに就て
神谷 貞義
1
1奈良醫大眼科
pp.365-374
発行日 1952年5月15日
Published Date 1952/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201150
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第1節 Fusion frequency の意義及應用
視覺生理學の基礎を開いたKühne が網膜化學に關する彼の最初の論文に「眼はカメラに似て外界の像を乾板上に寫すだけでなく,その像を吹き消して新しい乾板を入れ換える寫眞師が行う全操作を同時に行う點で勝れて居る」と述べて居るが,此の外界を寫す機能即ち空間視覺に關しては多くの研究がなされ視覺生理學と言えばこれを主題として居るかの如き觀を呈している。併し實際の視機能はKühneの云う樣に古い像を吹き消して乾板を入れ換える操作も同時にその中に含めているので,視覺生理の研究の爲には視空間に就てだけではなくて,後者の機能をも含めたものとして理解すべきだと思う。
この乾板を入れ換える操作は,若しも乾板が一樣であり,寫眞師が出來るだけ速かに入れ換えたならば,その操作が速く行われておればおる程,出來上つた乾板を連ねてみるとより詳細に外界の變化が解るのである。だから此の乾板を入れ換える操作とは外界の變化を知る機能を現すのである。そしてその外界の變化を如何によりよく知り得るかを測るには單位時間に幾枚の乾板を入れ換えるかを測ればよい譯である。
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