特集號 第5回關東甲信磐越眼科集談會
普通講演
(29)青森縣津輕地方「シビ・ガッチャキ」症の眼症状に就て(第1報)
入野田 公穗
1
1弘前大眼科
pp.167-169
発行日 1952年2月15日
Published Date 1952/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201078
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1.「シビ.ガッチャキ」症の臨床症状とその病因
「シビ・ガツチヤキ」症は今日特に青森懸津輕地方に蔓延せる風土病にて其の臨床症状は增田1)氏によれば口角炎,舌炎,更に肛門病變(皹裂,浮腫,上皮剥離,糜爛),外陰部の障碍(掻痒,それに續發する細菌感染による濕疹樣變化,摩擦疹樣病變)等,既ち粘膜皮膚の境界に於ける病變を主とするものであり(此の時期迄を「シビ」氣乃至「ガツチヤキ」氣と云う),更に次第に口唇や舌が酷く荒れて食物が攝れなくなつたり睡眠が障碍され或ひは期樣な前驅的段階を經ずに急激に重篤な全身違和感,倦怠感,食慾不振,不快な頭痛から精神沈欝,不眠更に昏迷錯亂に迄到る。即ち神經,精神症状,口腔より食道,胃肛門に到る一連の消化器障碍,粗〓,皹裂,糜爛の如き皮膚及び粘膜症状,時に發熱等を伴う一つの全身病としての症状が現はれるのである。
其の病因に就ては未だ解明せられて居らぬ點が多いがリボフラビンRiboflavin (ビタミンB2),ニコチン酸(ナイアシンNiacin)のみならずサイアミンThiami-ne (ビタミンB1),ピリドキシン(ビタミンB6),ビタミンB12,パントテン酸,パラアミノ安息香酸,コリンCholine,葉酸Folic acid等既ちビタミンB複合體の缺乏があり,その外ビタミンA,ビタミンCの不足も伴はれて居るらしく取りも直さずPolyavitaminosisに因るもので,之に加へて動物性蛋白過少もあるらしい。
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