対症看護講座
眼症状
福田 雅俊
1
1東京大学医学部
pp.10-14
発行日 1966年11月1日
Published Date 1966/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203286
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I.妊婦と眼疾患
妊婦の特有の眼疾患というものは,一般に想像されるよりは遙かに少なく,よく問題になる妊娠中毒症なども,そのほとんどは尿とか血圧のような全身的な異常症状から発見されるものである.またその眼症状のゆえに人工中絶を考えねばならぬような場合もほとんどない.それにもかかわらず,多くの眼症状と妊娠とを結びつけての不安から,眼科医を訪れる妊婦も決して少ないものではないから,われわれはむしろその不安を除くことに努力する方が多い.しかしすでにある多くの眼疾患,たとえば葡萄膜(虹彩,毛様体,脈絡膜)角膜,強膜などの炎症が,妊娠により増悪することも古くから知られている.従ってわれわれが妊娠に対して全く無関心でいるわけにはもちろんいかない.通常認められる眼症状,眼疾患に対しての注意と治療看護の上に,妊娠特有の考慮を加味しなければならぬ場合も少なくないのである.
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