臨床實驗
角膜血腫の本態に關する基礎的研究
平井 廓
1
1岩手医大眼科
pp.548-551
発行日 1950年12月15日
Published Date 1950/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200746
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第1章 緒言
角膜血腫Blutblase der Hornhautは極めて稀な疾患で,文献を渉覽するに庄司氏(1944)の記載を見るのみである.これが本態に関しても未だ詳でないが,庄司氏は「慢性緑内障等で失明した眼に,角膜に血管が入つていたものに起る」と述べている.一般に角膜組織内に出血を見た場合は角膜内出血と角膜血腫の2通りが考えられるが,角膜内出血の原因に就いては.角膜瘢痕中にある血管の破壊(宇山氏)によると考えられ,角膜血腫に就ても又同樣の見解にある樣であるが,然し乍ら角膜内出血と角膜血腫とは,その臨床所見並に経過からも甚だ相違する点があり.角膜に於ける血管,淋巴管の存在並に角膜栄養に関して未だ確説のない今日,その本態に就いても甚だ興味深いものと考えられる.
著者は先に角膜血腫の症例(1947)を報告したが更に1例を追加観察する機会を與えられたので,これが一般的,基礎的事項に就いて具体的研究の予備実驗を行い,その成績を報告し,本態に関する考察も併せ述べ樣と考える.
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