手術メモ・其2
トラコーマ手術
中村 康
1
1日本醫大眼科
pp.222-225
発行日 1949年5月15日
Published Date 1949/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200375
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イ)結膜トラコーマ、トラコーマ治療は藥治療法を主體とする.そして其補助療法として理學的療法,手術的療法を之に添える.結膜トラコーマには出來るだけ瘢藻を殘すことの勘い手術をするのが上手と言う.其には病竈範圍を見極めて其範圍内だけに手術を加え健康結膜面には術傷を生ぜしめず,且つ術式は出來るだけ表層的に行うことに注意を要する.従來の大きな瘢痕を貼す方法は避くべきである.トラコーマの難治は此處から來る,殊に最初の手術方法の亂棒さは一層難治とする.
病理的に考えて病原が健康結膜に附着すると上皮層下に腺樣層が増殖し結膜血管は此下にかくれ不明瞭となる.顆粒も此層内に生する.依つて手術に際しては此結膜血管の露出する程度に腺樣層除去を試みる.若し此結膜血管以下の組織を破損すると必ず大なる瘢痕を貼す.何れの手述式を撰ぶも此心掛けさえあれば術式は各人の好みに依れば良いのである.そして普通2,3の術式が併用される.
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