Ⅱ臨牀實驗
調節學説の誤謬に關する醫學的常識的考察(第二回報告)
田川 精三郞
pp.198-201
発行日 1948年10月20日
Published Date 1948/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200275
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第一章 緒言
吾々は事實日常遠方,近方と全く相反する方向の物を隨意に積極的に見もし,之に調節もしているものを,而も吾々の眼には從來の所謂調節機即ち田川の所謂近方調節機能丈が具備せられて,之に對抗する遠方調節機能なるものは具備せられてないと云う如何にも消極的なヘルムホルツの調節學説が一般に普及せられているが爲に,世上殊に本邦の如きは實に文化の進歩に逆行して近視眼が多發し,或は視力減弱遠視眼も相當に多く,或はその發生は自然であるかのように信ぜられている所謂老視眼なども起つたのだと云うことは,特に既報のように醫學的常識では勿論,一般常識を以てするも容易に考察出來る問題だと信ずるけれども,抑々田川が最初其の大問題に著眼し得た主なる動機の一つは既にその大要については,拙著「予の所謂遠近調節力と近視老視等の撲滅策指針,昭和十七年六月印刷本邦斯界の權威者並に常識特に豐なる一部の方々へ謹呈批判を乞ふたもの」中に論述したように,實に斯界の權威,菅沼,Iwanoff,及びHeine諸氏の毛樣筋の解剖生理に關する研究業績を再檢討したことにあるので,之を世に紹介することも決して徒爾でないことを信じ本論文を報告し諸賢の批判を乞はんと欲する所以である。
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