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連載 つけよう! 神経眼科力・39
心療眼科:神経眼科の一大領域へ
Psychomedical ophthalmology:A possible major area of neuro-ophthalmology
若倉 雅登
1
Masato Wakakura
1
1井上眼科病院
pp.858-863
発行日 2013年6月15日
Published Date 2013/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410104754
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はじめに
視機能の生理と病理を扱う臨床医学が,神経眼科学だと捉える考え方がある。神経眼科が扱う眼瞼機能,眼位変化や眼球運動,調節や瞳孔反応は,いずれも最適な視覚を得るために必須な機能である。そして,眼球に入力された外界からの視覚情報が,眼球から視路を介して視覚中枢に到達し,さらに高次脳機能で認知される経路は,まさに神経眼科の領域といえる。
一方,心療眼科は心身医学(psychosomatic medicine)に属するものとみなすこともできるが,われわれは,「視覚や眼のさまざまな不都合,不快な症状や,それに伴う心理的負担に対する医学的,心理学的対応,また,精神疾患や薬物使用に伴うさまざまな視覚や眼部症状に対する医学的対応を行おうとする,より実践的対応」を目指しつつ,心療眼科の蓋然性,必需性を訴えてきた経緯がある1,2)。
表1には心療眼科を必要とする理由と神経眼科との関連を示した。心療眼科の考え方は,眼科全般に必要なことではあるが,表の内容を見れば,神経眼科的スタンスをとりながら,心療眼科学を発展させることの意義を読み取っていただけるであろう。
本稿では神経眼科と関連の深い心療眼科学の2大テーマとして,「器質的異常が検出されない視覚異常」と「眼部快適性が欠如する病態」について取り上げて,考察する。
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