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あとがき
鈴木 康之
pp.408
発行日 2011年3月15日
Published Date 2011/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410103594
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島根大学の大平教授による今月の話題「眼科におけるディスポーザブル製品-単回使用医療器材の再使用についての提言」を非常に興味深く拝読させていただいた。医療機関によるディスポーザブル製品の再使用を規制する法律が存在しないという話にはいささか虚を突かれた。眼科手術で使う膨大かつ高価なディスポーザブル機器を正々堂々と再使用できるようになれば,経済的にも心理的にも,そしてもちろん地球環境的にもどんなによいことであろうか。大平教授が指摘されているように,ディスポーザブル製品の再使用にあたっては専門家の育成,専門業者への適切な依頼,そしてそれらを支える法的な整備と経済的基盤の確立が何よりも大切と思われる。現状のような「何でもディスポで」というような風潮がいつまでも続くと思っている医療関係者はどこにもいないであろう。非常に時宜を得た提言であり,各方面からの積極的な関与が望まれるところである。
しかしながら,一方で心配になるのが,わが国の現状である。政府は携帯電話やデジカメ,ゲーム機を捨てるのにもお金を徴収しようとしており,このまま行くと家電製品の不法投棄もしくはタンスの肥やし化が急増しそうな感じである。それはともかく,このような状況下でディスポーザブル製品の再使用を検討した場合,よほど気を付けて調整しないと,結果として手術点数の削減および医療機関からの使い捨て費用の徴収などという,医療機関のみ苦しむようなことになってしまいかねない。そのような事態に陥らないように十分心して交渉を進めていく必要があるだろう。
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