特集 新しい時代の白内障手術
Ⅲ.高機能眼内レンズ
非球面眼内レンズ
川守田 拓志
1
,
魚里 博
1
1北里大学医療衛生学部視覚機能療法学専攻
pp.148-154
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410103416
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非球面眼内レンズのコンセプトと種類
非球面眼内レンズは,前後面の両方またはいずれかが非球面化され,眼球の球面収差を消失あるいは軽減させるコンセプトで設計された眼内レンズである。
球面収差とは基本的な収差の1つで,光軸に対し種々の平行光線が光学系に入射したとき,その対応した像点が一点に結像しない現象で,像にボケを生じさせる1)。レンズ周辺を通過した光線がレンズ中心を通過した光線よりも物側で光軸と交わる場合を正の球面収差,逆にレンズ中心を通過した光線がレンズ周辺を通過した光線よりも物側で光軸と交わる場合を負の球面収差と呼ぶ。若年眼の眼球においては,角膜が正の球面収差,水晶体が負の球面収差を有しており,角膜の球面収差を水晶体が補償している。過去の報告から,Zernike多項式による6mm解析径の角膜前面の球面収差Z(4,0)は0.2~0.3μmとされる2)。
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