特集 新しい時代の白内障手術
Ⅲ.高機能眼内レンズ
新しい時代の眼内レンズの選択法
二宮 欣彦
1
,
前田 直之
2
1行岡病院眼科
2大阪大学大学院医学系研究科視覚情報制御学寄附講座
pp.142-146
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410103415
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はじめに
1949年Harold Ridleyによる初めての眼内レンズ挿入眼の術後屈折誤差はS-24.0D()cyl+6.0D 30°であった。これは彼が,Gullstrand模型眼の水晶体の曲率を再現したものの材質の屈折率の影響を読み誤ったこと,手術による惹起乱視などのためであると考えられる1)。
その後,白内障手術は超音波乳化吸引装置,眼内レンズ,手術手技の進歩に伴い急速な発展を遂げ,安全性の向上と良質なQOV(quality of vision)の追求が図られた。(極)小切開手術による惹起乱視の減少,光学的眼軸長測定による正確な眼軸長測定,眼内レンズ度数計算の進歩などにより,乱視を含む術後の屈折誤差の予測精度は向上した。そして,積極的に乱視矯正を行うトーリック眼内レンズの登場,また,かつて軽視されがちであったコントラスト感度の低下,色感覚の変化,調節力の低下などに対しても非球面眼内レンズ,着色眼内レンズ,多焦点眼内レンズなどの高機能眼内レンズの登場により,術後のQOVをより付加価値的にデザインできるようになった。
本項では,こういった新しい高機能眼内レンズの登場後における臨床上の適応判断について自験例のデータも交えて述べる。
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