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はじめに
白内障手術では極小切開白内障手術(micro incision cataract surgery:MICS)が広まり,切開が3~4mmから2mm前後の手術へと進化している。眼内レンズの進化に先行して切開創が小さくなったが,最近は2mm以下でも安定して挿入可能な眼内レンズが開発され,ますます術式が小切開へと移行しつつある。
硝子体手術にも小切開硝子体手術(micro incision vitrectomy surgery:以下,MIVS)が開発され,小切開への波が押し寄せている。MIVSは2002年にFujiiら1)が経結膜的強膜創に設置するカニューラと電動硝子体カッターを用いる25ゲージ(gauge:以下,G)硝子体手術システム(Millennium TSV25TM)を開発したことで始まった。当初は器具の小口径化による眼内照明の照度不足が指摘されていたが,キセノン照明器具やシャンデリア照明の普及により20G手術と遜色ない眼底観察が可能になったこともMIVSの普及を容易にした。初期は,25Gの硝子体手術器具は口径が小さいことで破損しやすい欠点もあったが2),逆に先端が細く細部にわたった手術がしやすい利点がある。さらに硝子体の切除効率が不良であった欠点も,2,500 cpm(cut per minute)が可能なMidlab社の硝子体カッターが発売されてから改善されている3)。これは硝子体カッターの開口部を大きくしただけでなく,duty cycleを大幅に改善したため,開口している時間が長いことで大幅に効率のよい硝子体切除が可能となった。
Eckardt4)は,25G硝子体手術で困難であった器具の剛性をより20G手術に近づけるように23G硝子体手術を開発した(図1,2)。23G手術では硝子体カッターは2,500 cpmが標準となっている。次世代の硝子体手術装置では5,000 cpmが可能になり,最近では27G手術も開発され,25G,23G手術での合併症であった術後早期の低眼圧や眼内炎の発生を減少させられるのではないかと期待されている。23G手術は20G手術の延長であるのに対して,25G手術は20G手術とは異なった術式であると認識したほうがよく,ここではMIVSの利点と問題点について解説する。
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