特集 緑内障診療―グレーゾーンを越えて
Ⅱ.治療編
4.閉塞隅角緑内障と原発閉塞隅角症
慢性閉塞隅角緑内障の治療
溝上 志朗
1
1愛媛大学大学院医学研究科感覚機能医学講座視機能外科学分野
pp.336-340
発行日 2009年10月30日
Published Date 2009/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102988
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はじめに
日本緑内障学会が2006年に制定した緑内障診療ガイドラインによると,慢性閉塞隅角緑内障(chronic angle-closure glaucoma:CACG)とは,「原発閉塞隅角緑内障のうち,急性型の自他覚症状並びに既往の認められない症例」とされ,基本的に「浅前房で,狭隅角ないし閉塞隅角である以外は,原発開放隅角緑内障に似た自他覚所見を示す」と定義されている1)。また慢性閉塞隅角緑内障の主たる隅角閉塞機序としては,相対的瞳孔ブロック,プラトー虹彩,および虹彩水晶体隔膜の前方移動の3つのメカニズムが想定されており,さらに最近では,虹彩水晶体隔膜の前方移動の原因として慢性毛様体ブロックによるメカニズムの存在も示唆されている2)。
多くの場合,これらのメカニズムは単独ではなく,複合的に作用するとされ,慢性閉塞隅角緑内障の治療方針としては,病態の正確な診断と原因治療をめざすことが重要である(図1)。本項では慢性閉塞隅角緑内障の各病態に対する基本的な治療戦略について概説する。
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