特集 緑内障診療―グレーゾーンを越えて
Ⅰ.診断編
5.病型解説
ガイドラインに基づいた緑内障病型分類
阿部 春樹
1
,
白柏 基宏
1
1新潟大学大学院医歯学総合研究科感覚統合医学講座視覚病態学分野
pp.168-172
発行日 2009年10月30日
Published Date 2009/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102945
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はじめに
日本緑内障学会は2003年に緑内障診療ガイドライン(以下,ガイドライン)の初版1)を公表し,2006年にガイドラインの第2版2)を公表した。ガイドライン第2版では緑内障は,視神経と視野に特徴的変化を有し,通常,眼圧を十分に下降させることにより視神経障害を改善もしくは抑制しうる眼の機能的・構造的異常を特徴とする疾患と定義されている。緑内障は隅角所見や眼圧上昇をきたしうる疾患や状況の有無および付随する要因により分類することが可能である。緑内障の治療方針を立てるうえで眼圧上昇機序による分類が有用と考えられる。緑内障の機能的・構造的異常の本態は緑内障性視神経症であり,近年,国際的には緑内障およびその関連疾患の分類において緑内障性視神経症の有無を考慮することが一般的となっている3)。
ガイドライン第2版では表1に示す緑内障分類が採用されている。ガイドライン第2版では,緑内障は「眼圧上昇の原因を他に求めることのできない原発緑内障」「他の眼疾患,全身疾患あるいは薬物使用が原因となって眼圧上昇が生じる続発緑内障」「胎生期の隅角発育異常により眼圧上昇をきたす発達緑内障」の3病型に分類されている。本項ではガイドラインに基づいた緑内障病型分類について解説する。
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