今月の臨床 ホルモン補充療法;HRT
HRTの適応と効果
28.HRT効果の評価法
赤松 達也
1
,
木村 武彦
1
,
矢内原 巧
2
Tatsuya Akamatsu
1
,
Takehiko Kimura
1
,
Takumi Yanaihara
2
1国立精神・神経センター国府台病院帝婦人科
2昭和大学医学部産科婦人科
pp.879-881
発行日 1993年7月10日
Published Date 1993/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901385
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近年,更年期以降のホルモン補充療法(HRT)が注目を集めているが,HRTは①更年期障害,なかでも「のぼせ・ほてり,発汗」など急速なエストロゲン消退による血管運動神経系障害のような急性症状としての不定愁訴の軽減,②腟炎,排尿障害,性交障害など亜急性症状の軽減のみならず,③慢性症状として晩期に出現する骨粗鬆症,心臓血管系疾患の予防に対する有効性が高く評価されている。しかしHRT効果に対する評価法については,対象となる障害によっても異なり一律に論ずることはできない。
一般に上記症状①,②,③に対するHRT効果を判定する場合,①では愁訴の改善度,ホルモン値の変化(E2,FSHなど),各種自律神経検査法など,②では,愁訴,腟鏡診,細胞診,コルポ診,培養,尿道内圧測定など,③の骨粗鬆症では,骨塩量測定,骨代謝マーカー,また脂質代謝では,総コレステロール,HDL—コレステロール,LDL—コレステロール,トリグリセリドなどがあげられる。しかし①,②のように比較的自覚症状の認められる,いわゆる更年期障害に対する対症的療法と,投与開始の段階で症状がほとんど認められない③の骨粗鬆症,心血管系疾患に対する予防的療法とではHRT効果の判定に関して,その評価の目的も基準もおのずと異なるのは言うまでもない。③については,本邦でのデータがきわめて少ない。
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