やさしい目で きびしい目で・115
いつでも修行
堀 好子
1
1東京歯科大学市川総合病院眼科
pp.1195
発行日 2009年7月15日
Published Date 2009/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102808
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最近,立ち上げから12年間勤務した屈折矯正手術を専門とする施設を退職し,大学付属病院眼科のスタッフへと転身した。前職の施設の立ち上げ当時,国内ではまだレーザーによる屈折矯正手術は臨床治験として行われた以外にあまり実績がなく,かなり新しい分野であったため,大変なことも多かったが非常にやりがいもあった。こつこつと症例を重ねてデータを集積し,国内外の学会などで発表し,論文も書くことができた。しかし,自分の眼科医としての原点に立ち返ると,屈折矯正手術だけの道を進むわけにはいかないぞという気持ちがいつもどこかにあった。
私が生まれ育った町は周辺人口を加えてもおそらく十万人には満たないが,広い土地に眼科医がたった1人という地方都市であり,その眼科医が私の父であった。両親に医者になれとか跡を継げなどということはまったく言われたことはなかったが,気がつけば医学部を第一志望とし,入局を決める際は2,3科での迷いはあったが最終的には眼科を選択した。眼科手術に惹かれたせいもあるが,専門とするからには全国どこへ行っても役に立つレベルの医師になりたいと思った。いろいろなことのできる眼科医になりたかったが,生まれた町に帰るつもりもなかった。入局した地方の大学病院では臨床だけでなく,研究や留学の機会にも恵まれ,地方から首都圏に出てくることなどは想像もしていなかった。ご縁は不思議。
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