特集 網膜硝子体診療update
Ⅳ.注目の疾患
5.その他
特発性傍中心窩網膜毛細血管拡張症
飯田 知弘
1
1福島県立医科大学眼科学教室
pp.342-347
発行日 2008年10月30日
Published Date 2008/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102517
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はじめに
特発性傍中心窩網膜毛細血管拡張症(idiopathic juxtafoveolar retinal telangiectasis:以下,IJRT)あるいは特発性黄斑部毛細血管拡張症(idiopathic macular telangiectasia)は,日常診療でしばしば遭遇する疾患であるが,その病態に関しては,これまでわが国では十分に理解されてきたとは言い難い。一般に「傍中心窩網膜(黄斑部)毛細血管拡張症」と聞いて,まず頭に浮かぶのは,黄斑部の毛細血管瘤と黄斑浮腫を主病変とする病態ではないだろうか。しかし,この病態はIJRTの一病型にしかすぎない(以下に述べるグループ1に相当)。わが国のテキストなどで記載されている本症は,ほとんどがグループ1に関してのみである。また,網膜静脈閉塞症などときちんと鑑別されないまま,診断と治療が行われていることが少なくないと思われる。
最近,光干渉断層計(optical coherence tomograph:OCT)などの画像診断法の進歩により,IJRT,特にグループ2Aの病態理解が急速に深まり,本症の疾患概念も再考の時がきていると思われる。本項ではIJRTの疾患概念と分類・病態を概説し,その診断と治療についても述べる。
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