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連載 日常みる角膜疾患・62
膠様滴状角膜ジストロフィ
Gelatinous drop-like corneal dystrophy
山田 直之
1
,
近間 泰一郎
2
,
西田 輝夫
1
Naoyuki Yamada
1
,
Tai-ichiro Chikama
2
,
Teruo Nishida
1
1山口大学大学院医学系研究科情報解析医学系学域眼科学分野
2山口大学医学部眼病態学講座
pp.644-647
発行日 2008年5月15日
Published Date 2008/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102224
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症例
患者:55歳,女性
主訴:両眼の緩徐な視力低下
現病歴:小児期から両眼とも視力は不良で0.6程度であった。2006年1月,近医より両眼の角膜混濁の精査目的で紹介となった。
初診時所見:視力は右指数弁(矯正不能),左0.01(矯正不能),両眼とも角膜中央部には乳白色から黄色の膠状隆起物を認め,血管侵入を伴っていた(図1)。典型的な臨床所見から膠様滴状角膜ジストロフィを疑った。家族歴については両親がいとこ婚であった(図2)。問診では,家系内に他に角膜ジストロフィ患者はいなかった。
経過:2006年5月に右眼に対して白内障手術併施の全層角膜移植術を行った。手術により得られた標本の病理学的検査で,角膜上皮下および実質浅層に広い範囲でコンゴレッド染色陽性のアミロイド沈着を認めた(図3)。術後,最高矯正視力は0.7に達し経過は良好である。膠様滴状角膜ジストロフィの再発に関しては,隆起性病変などの明らかなものは認めないものの,細隙灯顕微鏡検査においてフルオレセイン色素の実質への透過性亢進を認め上皮のバリア機能の低下が示唆される(図4)。現在は膠様滴状角膜ジストロフィの再発予防のためソフトコンタクトレンズを装用している。
術後,インフォームド・コンセントを取得後,採血し,M1S1遺伝子について遺伝学的検討を行い,Q118X(ホモ接合体)を認めた(図5)。
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