特集 眼科専門医に必要な「全身疾患と眼」のすべてコラム
眼科研究こぼれ話
恐怖のデータクラブ
堀尾 直市
1
1朝日大学歯学部附属村上記念病院
pp.303
発行日 2007年10月30日
Published Date 2007/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102050
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その朝私は,いつもより少し早く実験の準備をしていた。そこへ実験助手が入ってきて,部屋の片隅のコンピュータでインターネットを開いて,私を呼んだ。そこには,ニューヨークのツインタワーへ飛行機が衝突する映像があった。まるで映画のようで,実験助手のいつものジョークかと思っていた。しかし,しばらくしてもう一機,衝突した映像が流され,事件だと確信し,「戦争が始まった」と感じた。後で同時多発テロであると報道された。その頃,私はボストンに留学中であった。このテロに使われた4機の航空機のうち2機がボストンから離陸したのである。その日の実験は,毎週火曜日に開催されるデータクラブに向けてのものであった。
データクラブとは,共同研究しているグループの30人くらいが集まり,実験の進行状況を報告し,討論するミーティングである。そのリーダーがジョージで,初めて私が参加したとき,彼に私の実験テーマを冒讀され完膚なきまでに叩きのめされた経験がある。後から聞くと,大抵の日本人はこの洗礼を受けるらしい。誰もが彼をなかなか好きになれない理由の1つがここにあった。
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