特集 眼科専門医に必要な「全身疾患と眼」のすべてコラム
眼科研究こぼれ話
強度近視と血管新生
大野 京子
1
1東京医科歯科大学
pp.294
発行日 2007年10月30日
Published Date 2007/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102048
- 有料閲覧
- 文献概要
私は東京医科歯科大学の眼科に入局してから長く強度近視の臨床研究,そして留学を機に血管新生メカニズムの基礎研究に取り組んできました。
私が入局した頃は,当時の所 敬教授(現在;名誉教授)が医局員の研究テーマを決めておられました。強度近視は当時の教室のメインテーマでしたので,所先生から「強度近視グループに入りなさい」と言われてとても嬉しかったのを覚えています。強度近視グループのなかで私に与えられたテーマは,Bruch膜の断裂であるlacquer crack lesionという病変でした。当時個人的には,強度近視の視覚障害の最大の原因である脈絡膜新生血管にとても興味があったのですが,すでにそのテーマは他の教室員が取り組んでいました。何はともあれ,テーマをいただいてからすぐに,臨床の合間を見つけては膨大な強度近視外来の何百人ものカルテを取り出して眺め,強度近視の眼底病変が長期間にどのように変化するのかを調べました。そしてカルテを眺めているうちに,lacquer crack lesionは経過とともに実は多様な病変に進行していくことを見いだし,その結果をカルテを持って教授室で所先生にご説明し,厚生省の班会議や学会で発表する機会を得ました。
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.