特集 手術のタイミングとポイント
Ⅲ.網膜・硝子体
増殖硝子体網膜症―術前評価と術式の選択
塚原 逸朗
1
1東邦大学医療センター佐倉病院眼科
pp.138-143
発行日 2006年10月30日
Published Date 2006/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410100983
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はじめに
増殖硝子体網膜症(proliferative vitreoretinopathy:PVR)は,網膜剝離に伴って発生する網膜前面や後面,後部硝子体膜の表面などにおける進行性の膜形成と,膜の収縮による牽引性網膜剝離を特徴とする病態である。本症は裂孔原性網膜剝離に対する網膜復位手術における不成功の主因であり,裂孔原性網膜剝離の最も重篤な術後合併症とされてきた。一方,放置された網膜剝離,家族性滲出性硝子体網膜症,Coats病などでの自然経過で増殖性変化を伴って発生することもある1)。本症の治療は手術手技や手術装置が格段に進歩した現在でも難治であり,術前に手術対象眼の病態を正確に評価し,適切な術式を選択することは非常に重要である。
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