特集 手術のタイミングとポイント
Ⅲ.網膜・硝子体
網膜静脈閉塞症―手術適応とそのタイミング
門之園 一明
1
1横浜市立大学附属市民総合医療センター眼科
pp.144-150
発行日 2006年10月30日
Published Date 2006/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410100984
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はじめに
「網膜静脈閉塞症の治療=手術」と図式化している臨床医は,多くはないであろう。網膜静脈閉塞症は,視力障害を伴う網膜血管障害のなかでは糖尿病網膜症に次いで多く,一般診療においてもよく遭遇する疾患であるが,網膜静脈閉塞症に対する一般化された治療指針は現在のところない。当然,手術が最も有効であるとする根拠をもった臨床研究はない。網膜静脈分枝閉塞症に対して臨床研究が行われた根拠のある治療方法は,1984年に米国で施行されたBranch Vein Occlusion Study1)(以下,BVO Study)に基づく網膜光凝固だけである。しかし,本研究は,硝子体手術がまだ,一般的ではなかった時代におけるものであり,その後,大規模な臨床研究は行われていない。
近年の硝子体手術の進歩は著しく,積極的に硝子体手術を網膜静脈閉塞症の治療に取り入れる考え方は,わが国では主流になりつつある。本稿では,数ある網膜静脈閉塞症の治療のなかで,手術治療をどのように位置づけるべきかを考えてみたい。
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