今月の表紙
増殖硝子体網膜症
山﨑 伸吾
1
,
鈴木 康之
2
1竹内眼科クリニック
2東海大学
pp.794
発行日 2024年7月15日
Published Date 2024/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410215211
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- 文献概要
症例は14歳,男性。右眼網膜剝離で竹内眼科クリニックを紹介され受診した。5か月ほど前は眼鏡店で矯正が可能であったそうである。初診時の右視力は(0.15)で,眼底はほぼ全剝離の状態であり,下耳側8時方向の変性巣内に小さな円孔があり,それが原因裂孔であった。視神経乳頭近傍の網膜下輪状索状物,それに連なる放射状の索状物の強い収縮により,網膜には段差が生じていた。増殖硝子体網膜症Grade CP網膜下タイプであった。若年者でまだ硝子体の液化が少なく,裂孔も小さいため,網膜剝離の進行は緩やかで,そのため網膜下での強い増殖性変化が形成・進行したと考えられる。増殖硝子体網膜症は網膜剝離患者の5〜10%に発症するといわれ,その原因となる因子はいくつか存在し,網膜色素上皮細胞,線維芽細胞,グリア細胞,マクロファージと,炎症関連性サイトカインが挙げられる。
撮影機器にはZEISS社製CLARUS 700を使用し,後極を中心にモンタージュ画像を作成した。8時方向の小さな円孔と網膜下索状物による強い収縮を中央に配置した。
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