特集 手術のタイミングとポイント
Ⅱ.緑内障
続発緑内障の手術適応
蕪城 俊克
1
1東京大学大学院医学系研究科外科学専攻眼科学
pp.106-113
発行日 2006年10月30日
Published Date 2006/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410100978
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続発緑内障の分類
眼圧上昇の機序が不明な緑内障を原発緑内障と呼ぶのに対し,続発緑内障(secondary glaucoma)は,他の眼疾患,全身疾患,薬物使用など眼圧上昇機序がはっきりしている緑内障と定義される。2002年に作成された緑内障診療ガイドライン1)によれば,続発緑内障(secondary glaucoma)には,続発開放隅角緑内障と続発閉塞隅角緑内障があり,前者には ①線維柱帯と前房の間に房水流出抵抗の主座があるもの(血管新生緑内障,虹彩異色性虹彩毛様体炎による緑内障,前房内上皮増殖など),②線維柱帯に房水流出抵抗の主座があるもの(ステロイド緑内障,落屑緑内障,ぶどう膜炎による緑内障,外傷性緑内障,術後緑内障,色素散布症候群など),③シュレム管より後方に房水流出抵抗の主座があるもの(眼球突出に伴う緑内障,上大静脈圧亢進に伴う緑内障など)が挙げられる。一方,続発閉塞隅角緑内障には,①瞳孔ブロックによるもの(膨隆水晶体,虹彩後癒着,水晶体脱臼,小眼球症など),②水晶体後方にある組織の前方移動によるもの(悪性緑内障,眼内腫瘍による緑内障,原田病・後部強膜炎による閉塞隅角緑内障,眼内充填物質による緑内障など),③隅角癒着によるもの(前房消失後の緑内障,ぶどう膜炎,角膜移植後,血管新生緑内障,ICE症候群など)などが挙げられる。
このように続発緑内障の原因は多岐にわたり,前眼部所見・隅角所見に加えて,それまでの眼病歴や手術歴,全身疾患,ステロイドの使用歴などを各々の症例ごとに総合的に考えて,眼圧上昇の原因を推定することが必要になる。
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