特集 白内障手術の傾向と対策―術中・術後合併症と難治症例
Ⅲ.ハイリスク症例―私はこうする
緑内障合併眼の白内障
原 岳
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1自治医科大学眼科学講座
pp.233-235
発行日 2004年10月30日
Published Date 2004/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410100826
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私の方針
筆者は,白内障手術既往のある緑内障手術症例に数多く遭遇している。その経験から,緑内障を合併している白内障手術患者は,手術時に眼圧が調整されていても,後に(翌日かもしれないし,何十年後かもしれない)眼圧調整不良になり緑内障手術を受ける可能性があることを念頭におくべきであると考えている(図1)。
現在,最も眼圧調整幅の広い手術は線維柱帯切除術であるから,線維柱帯切除術を前提とした白内障手術を行うべきである。すなわち,強膜,結膜を温存する手術が望ましい。したがって筆者は,緑内障合併眼ではほぼ全例で透明角膜小切開の自己閉鎖創白内障手術を行っている。この方針は核硬度が高くても同様で,角膜内皮細胞数が極端に少なくない限りは褐色白内障でも超音波乳化吸引術を行っている。ただし例外は若年者で,自己閉鎖が得られにくいこと,術後の衛生管理が難しいことを考慮し,30歳未満の若年者では強膜小切開の手術を行っている。その場合,左右どちらの眼であっても耳側を温存し,鼻側寄りに手術を行うよう心がけている。
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