Japanese
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連載 日常みる角膜疾患15
角膜移植の術後管理
Postoperative management for penetrating keratoplasty
森重 直行
1
,
西田 輝夫
1
Naoyuki Morishige
1
,
Teruo Nishida
1
1山口大学医学部分子感知医科学講座(眼科学)
pp.896-901
発行日 2004年6月15日
Published Date 2004/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410100590
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症例
76歳,女性。幼少時に罹患した陳旧性角膜実質炎(梅毒性)に加え,白内障の進行により徐々に視力低下をきたしたため,1999年5月に近医で白内障手術(両眼)を施行された。その後,両眼に水疱性角膜症を発症したため,2000年に当科を紹介され受診した。初診時視力は左右とも指数弁(矯正不能)であった。2000年10月に左眼の水疱性角膜症に対し全層角膜移植術を施行した。角膜の透明性は回復したが近視性の網脈絡膜萎縮のため視力は左0.06(0.15)であった。
2002年7月に左眼の視力低下と充血を主訴に当科を受診した。左眼の視力は0.06(0.08),眼圧は14mmHgであった。角膜は下方耳側を中心に実質浮腫をきたしており(図1a,b),移植片中央に9時から3時方向にかけてKhodadoust線を認めた。左眼内皮型拒絶反応と診断し,ステロイド点滴漸減療法(リンデロン(R)8~4mg),ベタメタゾン(リンデロン(R))点眼1日4回,フルオロキサシン(クラビット(R))点眼1日4回を開始した。治療に反応し視力は徐々に改善したため当科を退院した。再診時,左眼視力も0.08(0.1)を維持しており,移植角膜片も高い透明性を維持している(図1c,d)。
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