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特集 第58回日本臨床眼科学会講演集 (4)
特別講演
ヘルペス性眼疾患―DNAから個体まで
Herpetic ocular diseases: From DNA to the eye
下村 嘉一
1
Yoshikazu Shimomura
1
1近畿大学医学部眼科学教室
pp.816-825
発行日 2005年6月15日
Published Date 2005/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410100272
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角膜診療においてヘルペス性角膜炎は,治療が適切でなければ強い角膜混濁や角膜穿孔をまねき重篤な視力障害の原因となる。その病態は上皮型,実質型,内皮型,遷延性角膜上皮欠損,角膜ぶどう膜炎などに分かれるが,それぞれの病態は時として複雑に組み合わさり,治癒に導くためには抗ウイルス薬の局所投与,全身投与,ステロイド薬点眼,フィブロネクチンなどの上皮創傷治癒促進薬を病態の時期によって適切に組み合わせて使用する必要がある。また,再発に注意して薬剤を漸減投与することも必要である。
ヘルペス性角膜炎の診断は,臨床所見とウイルス学的診断の両者から行われる。わが国の眼ヘルペス感染症研究会が提唱した,上皮型ヘルペス性角膜炎の確定診断1)として,単純ヘルペスウイルス(HSV)の分離同定が挙げられているように,分離同定がウイルス性疾患診断の必須条件であることに変わりはない。しかし,近年,PCR法などの分子生物学的手法がヘルペス性眼疾患の診断に大きく貢献してきた。また,HSV潜伏感染機構にはいまだ不明な点が多いが,LATs(latency-associated transcripts)の発見など徐々に解明が進んでいる2,3)。本稿では「ヘルペス性眼疾患―DNAから個体まで―」と題して,近畿大学眼科におけるヘルペス性角膜炎の統計学的検討,ヘルペス性角膜実質炎におけるケモカインの動態,ヘルペス性眼疾患におけるreal-time PCR法の応用,ヘルペス再発因子について論じたい。
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