特集 眼科における最新医工学
II.視機能再生工学
視覚再生医療
(2)幹細胞治療―臨床応用の問題点とその解決への試み
井上 俊洋
1,2
,
馬渡 祐記
1
,
福島 美紀子
1
,
谷原 秀信
1
1熊本大学大学院医学薬学研究部視機能病態学講座
2熊本大学発生医学研究センター胚形成部門転写制御分野
pp.152-157
発行日 2005年10月30日
Published Date 2005/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410100206
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はじめに
再生医療は有効な治療法がない神経変性疾患などの画期的な治療方法になることが期待されている。幹細胞の特質である自己複製能と多分化能という性質を利用して傷害された組織を再構築し失われた機能を取り戻すという目標は,臨床に携わる研究者にとって極めて魅力的である。われわれ眼科医にとって身近な非再生組織である網膜においても近年基礎的な研究が盛んに行われているが,臨床応用の前に解決しておくべき問題点は少なくない(図1)。ここでは網膜における幹細胞移植による治療の問題点を取り上げるとともに,それを解決するための筆者らの試みおよびそこから得られた知見について述べる。
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