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はじめに
神経回路の形成には,神経細胞の適切な位置への移動,神経突起の標的細胞への伸長,求心性投射線維からのシナプス入力,標的細胞へのシナプス形成が必須である。これらの現象は神経系発生のごく初期においてのみ容易なプロセスであり,成熟神経細胞が成熟中枢神経系環境下においてこれを正確に再現することはきわめて難しい。このため,各種中枢神経系疾患に伴う神経損傷や神経回路網の断裂の自然修復は期待できないのが実情であろう。したがって,この障害された神経回路網を如何に再建するかが,失われた機能を回復する重要な鍵を握るものと考えられる。こうした観点から,中枢神経系において多数存在すると考えられる神経栄養因子や神経機能の再建を目指した神経移植に関する多くの研究が盛んに行われている。これら神経栄養因子や神経移植の研究から,ある特殊な条件下においてのみ部分的には神経回路の形成が可能であることが判明したが,成熟中枢神経系環境下での解剖学的,生理的神経回路網の再構築はいまだ成し得ていないのが現状である。本稿においては,この神経回路網再建に関する最近の知見,とくに神経移植という手法を用いて神経回路網の再構築を成し得るかを中心に解説したい。
Central nervous system (CNS) stem cell may have a number of important advantages as donor material for the reconstruction of damaged neuronal circuits in the diseased adult brain. Neural plate cells from the early embryo from the transgenic GT4.2 mice (B-galactosidase positive ; Skarnes et al., Genes & Dev 6 : 903-918, 1992) or CBA mice (Thy-1.2 positive strain) was used as a source of marked donor cells to determine whether embryonic CNS progenitor cells can be used as donor material for implantation into the adult mouse brain.
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