今月の臨床 エコーガイド下で何ができるか
婦人科
4.子宮筋腫の部位別診断
関谷 隆夫
1
,
石原 楷輔
1日本医科大学第二病院産婦人科
pp.496-500
発行日 1997年5月10日
Published Date 1997/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409905024
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
近年,経腟超音波診断装置の普及により,経腹走査法では困難であった骨盤内臓器の詳細な観察が可能となった.それにともない産婦人科領域の疾患の診断精度は飛躍的に向上した1).一方,本法にて子宮内を観察すると,子宮の内腔はわずかに線状に描写されるか,または不明なことが多い.一般に子宮内膜や内腔の形態に変化をきたす疾患として子宮内膜ポリープや粘膜下筋腫,子宮体癌などが挙げられるが,本法はこうした診断にも有用とされている、しかし子宮内膜は非常に軟らかく,腔内に器質的疾患が存在しても圧迫により内膜に埋没し,膨隆した像として描写するのは困難で,輝度の違った領域として認識されるのみである.そこで子宮腔内に液体を注入しながら,経腟走査法で腔内病変を描写する方法(sonohystero—graphy,以下,SHGと略す)が1988年Deichertらによりはじめて報告された2).SHGでは液体によって子宮腔を拡大して観察を行うため,腔内病変を正確に診断することが可能となった.
今回は,エンハンストエコーグラフィーのなかで最も一般的なSHGによる子宮筋腫の部位別診断について,症例を示して解説したい.
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.