今月の臨床 胎児診断—テクニックと評価
超音波
15.胎児心奇形の診断
里見 元義
1
,
中沢 誠
1
Gengi Satomi
1
,
Makoto Nakagawa
1
1東京女子医科大学心臓血圧研究所循環器小児科
pp.807-810
発行日 1991年7月10日
Published Date 1991/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904946
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胎児心奇形診断へのアプローチ
胎児心奇形の診断は,出生後の心奇形の診断と同様に行われる,とは言っても出生後と胎児心エコー図とでは大きく異なる点がいくつかある。表1に概要を示したように,胎児心エコー図を在胎何週で行うかによっても異なってくるが,一般的に新生児や,乳幼児に比較して,対象構造物である心臓が小さいこと,小さいにも拘らず探触子からの距離が比較的離れていること,おまけに心拍数が多いなど,種々の点で異なる。また胎動があるために,動きの中でもすばやく所見を捉える必要がある。出生後の心エコー図検査は普通,仰臥位で前胸壁から行われるのに対して,胎児エコーでは体位によっては前胸壁から以外に,胎児の側壁から,背部からと色々な方向からのアプローチがなされる。これはまた出生後の患児と異なって,肺に含気がないために肺を通過してのアプローチが可能であるという1つの利点ともなっている。この意味から胎児心エコー図検査には,遠くに在って小さい構造物で速く運動するものをみるという,一見原理的には相矛盾するような性能が装置に要求されており,その限られた条件の中で妥協点を見つけて臨床検査に応用しているのが現状である。胎児心奇形の診断には四腔断面はとりわけ有用である1)。またカラードプラ法を含めたドプラ法の併用は診断精度の向上に貢献している2〜4)。
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