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MRIではT2強調画像において子宮体癌組織がhigh intensityに描出され,正常子宮筋層との識別が可能である。このことは癌の子宮外蔓延と密接な関係を有する筋層浸潤の評価が可能であることを意味しており,われわれの成績でもMRIで評価された残存子宮体部筋層の厚さと病理学的な実測値はγ=0.86と高い正の相関を有していた(図1)1)。またMRIでは子宮筋層の内膜と接する領域がjunctional zone(j-zone)とよばれるlow intensityなバンドとして描出されるが,体癌症例においてはこのバンドが保たれていれば癌が内膜に留まっているとされている2)。すなわち図2のごとく子宮内における癌を示すhigh intensityな領域が狭く,筋層の厚さが厚く均一であるうえ,j-zoneが全周にわたって保たれていれば癌は内膜に留まっている可能性が高く,たとえ筋層浸潤があったとしても顕微鏡的なものであると考えることができる。これに対して図3の症例の後壁に見るようにj-zoneの破綻がある場合はすでに筋層浸潤が起こっていると評価されるほか,その破綻部位から癌が後壁に発生したものであることもわかる。このような筋層浸潤程度の評価や,j-zoneの断裂の有無の判定では矢状断,横断の両画像を注意深く読影する必要がある。すなわちMRIでもpartial volume phenomenon(PVP)のため,矢状断像では子宮の左右側壁,横断像では子宮底や,子宮の前後屈の程度によっては前後壁で解像力が低下する可能性があるため,両断層面の描出精度のよい部分を組合せて,深い筋層浸潤部位やj-zoneの断裂を見逃がさないよう所見評価を行っていかなくてはならない。さらに画像上の境界は明瞭でも,正常筋層と体癌組織の間に起こるPVPのため,MRIによる筋層浸潤評価の精度には一定の限界があり,実際の治療方針の決定に際しては,このことを十分考慮する必要がある。もうひとつの問題として,MRI画像上の正常内膜,atypical hyperplasia,体癌組織の鑑別の困難さが指摘されている。図3の症例で,正常内膜が頸管から子宮中央まで,子宮前壁に沿ってhigh intensity線状に伸びている所見からもわかるとおり,一般に正常内膜に比して体癌組織はややintensityが低い傾向にあるが,実際は体癌組織と正常内膜の識別が困難であることも少なくない。しかしながら臨床上の取り扱いについては,子宮内腔に一致するhigh intensityな領域全体を癌とみなして診断を行えば,少なくともunder dia-gnosisによる不完全治療といったような事態は防ぎうるものと考えられる。
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