今月の臨床 子宮体癌—理解のためのQ&A 33
術前・術中診断,癌の広がりの診断
13.CT
高橋 康一
1
Koichi Takahashi
1
1杏林大学医学部産婦人科教室
pp.288-290
発行日 1991年3月10日
Published Date 1991/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904906
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子宮体癌組織が,contrast enhancement(CE)後のCT像における子宮陰影内のlow density area(LDA)として描出されることはすでに広く知られている。新しい体癌進行期分類に取り入れられたことからもわかるとおり,その筋層浸潤の深さは癌の子宮外蔓延の頻度と密接な関係にあり,予後を左右する大きな因子のひとつである。すなわち子宮陰影内のLDAも小さく,正常筋層の厚さも厚く均一な症例では深い癌の筋層浸潤はなく,子宮外進展の頻度も低いと考えられるのに対し,LDAが大きい,筋層の菲薄化した部分があったり,その厚さが不均一であるなどの所見がある症例では深い筋層浸潤があり,癌がすでに子宮外へひろがっている可能性が高いと考えることができる(図1,2)。われわれはこれを客観的に評価するため,3つのパラメーターを設定して検討してきたが,パラメーター1:50%以下,パラメーター2:0.5cm以上,パラメーター3:0.5以上の3条件を満たす,深い筋層浸潤がないと判定された境界値以下群に対し,これを満たさず,深い筋層浸潤ありと判定された境界値以上群では,有意に癌の筋層浸潤が1/3を越える症例も多く,筋層内脈管侵襲,子宮外浸潤転移も多いとの成績を得ている(図3,表1)1,2)。さらに完全に手術・病理組織学的検索を行い得た子宮外浸潤転移例13例について見てみると,内10例が境界値以上群であり,さらにそのうちの4例では癌の子宮外進展の所見を直接捉え得たなど,CTは体癌の進行度診断に大きな役割を果たすことが明らかとなった(図4,表2)。
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