特集 卵巣
Ⅰホルモンとリプロダクション
Topics
卵巣と精巣の機能の比較
松本 圭史
1
,
寺川 直樹
2
Keishi Matsumoto
1
,
Naoki Terakawa
2
1大阪大学医学部第二病理教室
2大阪大学医学部産婦人科
pp.53-56
発行日 1984年1月10日
Published Date 1984/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206926
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哺乳類においては,胎生期の初期には雄・雌はともに同様の未分化性腺を有している。性染色体がXYであればH-Y抗原が産生されて,その作用で未分化性腺は胎生初期に精巣化される。XXであればH-Y抗原は産生されず,未分化性腺は卵巣に分化する1,2)。この場合,未分化性腺の上皮細胞はSertoli細胞(精巣)と顆粒膜細胞(卵巣)に,間葉細胞Leydig細胞(精巣)と内莢膜・間細胞(卵巣)に分化する。これらの未分化性腺の上皮と間葉細胞から分化して生じた精巣と卵巣細胞の機能によって,以後の未分化内・外性器の雄型と雌型への分化,雄・雌の二次性徴の発現が誘導される。このように考えると,Sertoli細胞と顆粒膜細胞,Leydig細胞と内莢膜・間細胞はまったく異なったホルモンを産生して雄・雌への性分化を誘導しているように考えられるが,同じ起源の細胞から由来しているので,これら精巣と卵巣の細胞は類似の分泌機能を示すこともある。
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