今月の臨床 今日の癌検診
乳癌
16.ふえつつある乳癌
松本 圭史
1
Keishi Matsumoto
1
1大阪大学医学部病理学教室
pp.676-677
発行日 1991年6月10日
Published Date 1991/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900450
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日本では男・女ともに胃癌が最も多いが,世界的には女性で最も多い癌は乳癌である。欧米諸国では,乳癌が発生率,死亡率ともに女性の癌の第一位を占めるからである。しかし,乳癌発生率の低い日本人,中国人でも,米国に移住して二世,三世になると,乳癌の発生率は欧米なみに上昇する1,2)。以上のことから,乳癌の発生を主に左右するのは遺伝的要因ではなく,食事などの環境要因とそれによって変化する体格であることが分る。近年になって日本婦人の食事・体格などが欧米化し,乳癌は除々に増加をつづけるようになった。そして近い将来には,日本でも乳癌が女性で最も多い癌になろうとしている。ふえつつある日本の乳癌の現状を説明し,将来を考え,その要因をさぐってみよう。
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