今月の臨床 妊婦健診のピットフォール
中期健診のピットフォール
1.早産リスクのチェック
吉武 英憲
1
,
小山 祐之介
1
,
上平 謙二
2
1愛和病院産科・婦人科
2古賀中央病院
pp.1097-1109
発行日 2002年9月10日
Published Date 2002/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904726
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はじめに
早産は,その65%が自然早産で35%が治療的早産であるが1),われわれの使命は65%の自然早産を抑えることにある.自然早産の元になる切迫早産では,経腟超音波断層法の進歩に伴い,その概念は近年変貌しつつある.すなわち,早発子宮収縮を主徴とするものが従来型の切迫早産であるが,これに対して経腟超音波断層法による頸管短縮所見を主とする新しい概念が頸管機能不全症である2).その高度なものが頸管無力症で,図1はそのシェーマである.
従来,頸管無力症は特殊なものとして捉えられてきたが,頸管機能不全症という概念の出現によって,頸管無力症は従来のように孤立した存在ではなく「連続体(continuum3,4))」の一員として位置付けられるに至った.筆者らは,4年前から数千の自験例においてわれわれの提唱する「愛和スコア(AIWA�s score)」により妊娠の早期から頸管機能をスクリーニングし,細菌性腟症では予防的治療を行いつつ,必要と思われる症例に治療的頸管縫縮術を施行し,早産を妊娠37週未満では2/3,妊娠36週未満では1/2に減少させることができたので,以下その方法について述べたい.
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