今月の臨床 多胎妊娠―母児のリスクとその管理
早産リスクと予防
平野 秀人
1
,
真田 広行
1
,
利部 徳子
1
,
細谷 直子
1
1秋田赤十字病院総合周産期母子医療センター
pp.251-255
発行日 2009年3月10日
Published Date 2009/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101980
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
多胎児は早産で生まれることが多く,そのため未熟性に起因する種々の疾患に罹病する可能性が高いといえる.胎児数が多くなるほど分娩週数が早い.今から約20年前の日産婦周産期委員会報告1)によると,双胎,三胎,四胎そして五胎の平均分娩週数は,それぞれ35.1週,32.7週,28.7週,28.1週,さらに早産率は,それぞれ42.4%,85.0%,88.9%,100%となる.すなわち,三胎以上では,ほとんどが早産,それも早い妊娠週数での早産が当たり前で,この数字は何と今もそう変わっていない.ということは,多胎妊娠における早産は,ある意味では必然的(宿命的)な早産ということができ,その予防は困難,いい換えれば余り意味のないことになる.
すなわち,多胎妊娠の早産は,単胎妊娠の早産とは原因が大きく異なるのである.いわゆる自然早産の頻度は単胎のそれとほぼ同程度で,それ以上に胎児機能不全や胎児発育不全など胎児側要因や,母体合併疾患の増悪により早産を余儀なくされる場合が多い.
本稿では,主に当センターのデータ(1998年7月~2008年12月)をもとに,双胎妊娠における早産の原因を分析し,そこから浮かび上がる早産の予防について述べることにする.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.