今月の臨床 早産対策—いま臨床医ができること
外来での対策—私はこうしている
2.経腟超音波所見と治療指針・2—当院における“三位一体”の早産予防法
吉武 英憲
1
,
小山 祐之介
1
1産科婦人科愛和病院
pp.682-686
発行日 1998年5月10日
Published Date 1998/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903270
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頸管は長くて硬いほど,胎児先進部は下降しにくく,したがって早産しにくい.逆に短く軟らかいほど早産しやすい.また,初産婦に比べ分娩を経験した経産婦の頸管は,妊娠初期より外子宮口がすでに弛緩していることが多く,しかもいったん下降しだすと初産婦に比べて急速な進行をみることは,切迫早産の日常臨床においてよく経験されることである.また従来より指摘されているように,無症状に内子宮口の開大をみる「頸管無力症」の存在もある.
われわれはこのような「常識」を早産予防のstrategyに反映させるために,近年検討されてきた経腟エコー所見〔頸管長(内子宮口もしくは卵膜先端より外子宮口までの最短距離),内子宮口開大の有無〕と,従来より行われてきた内診所見(consistency,外子宮口挿入度)を組み合わせたものを「頸管の妊娠維持能」として個別に評価した.さらに既往歴,今回多胎妊娠か否かを加味して,総合的に今回の妊娠における早産のriskの程度を個別に検討しそれをスコア化し,その評価によりhigh riskとlow riskに選別し,診療の効率を図った.
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