今月の臨床 頸管無力症と頸管縫縮術
頸管無力症の診断
1.頸管無力症の診断の要点
牧野 康男
1
,
福岡 三代子
1
,
瓦林 達比古
1
1福岡大学医学部産婦人科
pp.845-847
発行日 2002年7月10日
Published Date 2002/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904675
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はじめに
頸管無力症は妊娠16週頃以後にみられる習慣流早産の原因の一つで,外出血や子宮収縮などの切迫流早産徴候を自覚しないにもかかわらず子宮口が開大し,胎胞が形成されてくる状態である1).既往分娩時に受けた陳旧性頸管裂傷や,先天的な頸部組織の異常により,妊娠中期以後になると妊娠が維持できなくなり,頸管が開大し,続いて胎胞が膨隆し,流早産へと進行する1).したがって,初期ならば頸管縫縮術により未然に流早産を防止することができることからも,頸管無力症を早期に診断することが重要となる.特に早産の予知の観点から,症状や訴えがなくとも妊娠20週,24週,28週では内診し,腟炎,頸管炎の有無のチェックと同時に経腟超音波検査で頸管長の計測を行うことが望ましい2).
本稿では,経腟超音波断層法による頸管無力症の診断については他稿で詳細が述べられているので,主に超音波検査以外の観点から,頸管無力症の診断について解説する.
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