今月の臨床 妊娠初期を診る
初期異常への対応
2.頸管無力症
中西 正美
1
1愛知医科大学産婦人科
pp.1074-1077
発行日 1997年10月10日
Published Date 1997/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903059
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
本稿は特集「妊娠初期を診る」の初期異常への対応の項の1つであり,頸管無力症はご存じのように主に妊娠中期のできごとであるが,初期異常への対応という観点から述べる.実際の診療に少しでも役だてれば幸いである.
本疾患の定義を日本産科婦人科学会編『産科婦人科用語解説集』を引用するならば,「頸管無力症(cervical incompetency)は妊娠中期以後にみられる習慣流産の原因の1つで,外出血とか陣痛などの切迫流産徴候を自覚しないにもかかわらず子宮口が開大し,胎胞が形成されてくる状態である.既往妊娠時に受けた陳旧性頸管裂傷や,先天的な頸管組織の異常により,妊娠中期以後になると妊娠が維持できなくなり,頸管が開大し,続いて胎胞が膨隆し,流早産へと移行する.通常は無症状性であるが,ときに多量の腟分泌物,下腹部不快感を訴えることがある」と記してある.
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.