今月の臨床 産婦人科手術における合併症管理のすべて
I 婦人科手術
3.腹腔鏡下手術
5.子宮内膜症の手術
奥田 喜代司
1
,
佐伯 理男
2
,
井本 広済
3
1大阪医科大学産婦人科
2佐伯医院
3北摂総合病院産婦人科
pp.419-423
発行日 2002年4月10日
Published Date 2002/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904595
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はじめに
子宮内膜症は子宮内膜様組織が子宮以外の腹膜や卵巣などで増殖,出血を繰り返し,癒着や卵巣チョコレート嚢胞(以下,嚢胞)を形成する疾患である.これら病態が月経痛,月経時以外の腰・下腹部痛(骨盤内疼痛)や女性不妊症などに代表される臨床的症状を惹起する.一方,子宮内膜症の診断にはこれら臨床症状とともに,診察所見画像診断,腫瘍マーカーなどの補助診断法があるが,確定診断や重症度の判定には腹腔鏡検査が必須である.子宮内膜症に対する腹腔鏡下手術は診断後に直ちに処置を行えることから早くから発展し,本邦では1994年4月には保険適用になった.その後の機器の発展や手技の熟練により重症の子宮内膜症の症例に対しても腹腔鏡下手術を適応できる施設が増えてきた.
われわれは子宮内膜症の症例に対して,まず嚢胞周囲の癒着を剥離した後に嚢胞摘出術を行い,その後に子宮と直腸S状結腸の癒着剥離や腹膜病巣の摘除(焼灼)を行う方法を行っている.本稿ではこれら処置に伴う合併症1,2)を中心にその予防や処置を述べる.
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