今月の臨床 これを読めばすべてわかる―最新の産婦人科超音波診断
II 婦人科領域における超音波診断
[子宮疾患の超音波診断]
5.子宮内膜悪性病変―内膜増殖症,内膜癌
石井 梨沙
1
,
関谷 隆夫
1
,
宇田川 康博
1
1藤田保健衛生大学医学部産婦人科学
pp.420-430
発行日 2010年4月10日
Published Date 2010/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102317
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子宮内膜悪性病変とは
子宮内膜に異常をきたす病変のうち,明らかに良性病変として分類される子宮内膜ポリープやミュラー管発生異常については前稿で述べた.こうした病変以外には,いわゆる良性病変の範疇を超えてフォローを必要とし,臨床的に悪性との境界病変として取り扱うべき子宮内膜増殖症と,悪性腫瘍としての子宮体癌があり,本稿では.これらを子宮内膜悪性病変(境界を含む)として解説する.
本症の確定診断は組織検査がgold standardであることに異論はないが,初診時を含めた診断の過程で,腟鏡診と双合診の次に行うのが超音波検査である.特に双合診は,骨盤内臓器の大きさや硬度,可動性,痛みの程度を評価するのに有用であるが,定量的な評価や臓器内部の状態を把握するには画像診断のほうが優れている.このうち超音波検査は非侵襲的で簡単かつ経済的な理由で他の診断法を凌駕する.本法で子宮を観察すると,ほとんどの症例でその中央部に子宮内膜像が描写され,子宮内膜悪性病変ではその画像が変化することから良い適応となる.また,悪性腫瘍は血管新生が盛んで血流に富むことから超音波ドプラ検査の対象としても適している1, 2).
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