連載 婦人科腫瘍切除標本の取り扱い方・11
子宮内膜症切除標本の取り扱い方
岡田 智志
1,2
,
岩瀬 春子
1,3
,
吉川 裕之
4
1東京大学医学部産科婦人科学教室
2国立がんセンター研究所病理部
3東京都立駒込病院婦人科
4筑波大学臨床医学系産科婦人科
pp.73-77
発行日 2002年1月10日
Published Date 2002/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904526
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はじめに
子宮内膜症(endometriosis)の名称は1925年にSampsonによってつけられたとされている.良性疾患ではあるが,エストロゲン依存性に増殖・播種し,しばしば再発を繰り返すなど,その性格はあたかも腫瘍のようである.また,子宮内膜症の発生には未妊・未産が深く関与することは明らかだが,分子レベルの発生機序は未だに解明されていない.さらに,WHO分類では腫瘍ではなく,類腫瘍病変に分類されているが,上皮性卵巣癌との関連が注目されるように,将来的には腫瘍に分類される可能性もある.
子宮内膜症の治療は薬物療法と手術療法があり,両者を組み合わせて行うことも多い.本稿では手術により摘出された内膜症病変の取り扱いとして卵巣内膜症性嚢胞を中心に,取り扱い規約に沿った臨床的取り扱いと研究のための検体取り扱いについて概説する.
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