連載 婦人科腫瘍切除標本の取り扱い方・7
卵巣腫瘍切除標本の取り扱い方
杉山 徹
1
,
大田 俊一郎
1
,
嘉村 敏治
1
1久留米大学医学部産科婦人科学教室
pp.1047-1051
発行日 2001年9月10日
Published Date 2001/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904433
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術中迅速病理診断のための検体の取り扱い方
卵巣腫瘍は子宮腫瘍や外陰・腟腫瘍と異なり,肉眼的な直達手段がないため,術前の病理組織診断は不可能である.腫瘍穿刺術(診査生検)は人工的に腫瘍被膜破綻を引き起こすため,原則的に禁忌である.また腫瘍嚢胞液の細胞診での診断精度も確立されていない.
臨床的に腫瘍マーカーや画像診断を用いた術前の良・悪性診断と推定組織診断に基づき手術療法の内容が計画される.しかしながら上皮性・間質性腫瘍では,良・悪性に加え,境界悪性との鑑別,さらに胚細胞性腫瘍や性索間質性腫瘍との鑑別が術前には診断できないことがある.このように組織型などにより術式の変更が生じるので術中迅速病理診断が必要となる.しかしながら,術中迅速診断には時間的,手技的にも限界があり,表11)に示すように偽陰性・偽陽性があることを十分に理解し,その旨を患者側にも十分に説明しinformedconsentを得ることが必要である.事前に麻酔科医師にも術中迅速診断を行う旨の了解を得ておくことも必要である.
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