臨床経験
ハイリスク症例に対するtranscervical resectionの有用性について
佐藤 賢一郎
1
,
水内 英充
2
,
塚本 健一
3
,
藤田 美悧
3
1新日鐵室蘭総合病院産婦人科
2みずうち産科婦人科
3みずうち産科婦人科検査科
pp.948-953
発行日 2001年8月10日
Published Date 2001/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904412
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今回,通常の手術手技が高度の危険を伴うと考えられた正期産分娩後の癒着胎盤・胎盤遺残の2例,難治性過多月経を示す再生不良性貧血合併子宮筋腫・腺筋症のI例,同様に難治性過多月経を示す透析施行中の腎不全のI例に対してTCR,TCREを施行し,良好な経過を得た.4例の術前血色素は7.3〜11.9g/dl,手術時間は45〜55分で,出血量はごく少量〜300ml,退院はTCR後1〜6日目で可能であった.われわれの経験よりTCR,TCREは血色素7〜8g/dlの貧血までは適応となり得る可能性が示唆された.術中・術後の出血に対して,直視下の凝固止血やバルーンカテーテルによる圧迫止血のバックアップがあるのも有利と思われる.TCR,TCREは低侵襲で,術後の疼痛もほとんど認められず,社会復帰も早期に行えることから臨床的有用性は高く,今後のさらなる普及のためにも適応症例の検討は有意義であると考える次第である.
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