臨床経験
子宮腟上部切断術後のbulky tumorを形成した子宮頸癌Ib2期例に対する術前化学療法と腹・腟式広汎子宮全摘術の治療経験
佐藤 賢一郎
1
,
水内 英充
2
,
塚本 健一
3
,
藤田 美悧
3
1新日鐵室蘭総合病院産婦人科
2旭川みずうち産科婦人科
3新日鐵室蘭総合病院検査科
pp.89-93
発行日 2008年1月10日
Published Date 2008/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101653
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今回,子宮腟上部切断術後の子宮頸癌Ib2期例(扁平上皮癌)を経験した.症例は55歳,2経妊・2経産で,既往歴として他院にて39歳時に分娩後弛緩出血,子宮筋腫合併にて子宮腟上部切断術を施行している.約2週間前よりの不正性器出血を主訴に2005年10月に初診し,子宮腟上部切断術後の子宮頸癌Ib2期と診断された.術前化学療法(TJ療法)を2コース施行したところ子宮頸癌病巣の著明な縮小をみたため,腹・腟式広汎子宮全摘術を施行し,術後16日目に退院した.特殊なケースでハイリスク症例と考えられ,術前化学療法が著効していることよりインフォームド・コンセントのうえ術後補助療法としてTJ療法を3コース施行した.現在のところ1年4か月間,再発徴候は認めていない.本例の経験より,腟上部切断術後頸癌に対する治療様式の1つとして,術前化学療法に引き続く腹・腟式広汎子宮全摘術は検討する価値があるものと思われる.
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