今月の臨床 ホルモン療法のピットフォール—あなたの方法は間違っていませんか
不妊治療
6.OHSSになりやすい排卵誘発法は
髙橋 健太郎
1
,
尾崎 智哉
1
,
宮﨑 康二
1
1島根医科大学医学部産科婦人科
pp.150-152
発行日 2000年2月10日
Published Date 2000/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903925
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卵巣過剰刺激症候群(ovarian hyperstimula—tion syndrome:OHSS)は,排卵誘発剤の合併症として発生し,卵巣腫大,腹水あるいは胸水の貯留,血液濃縮および循環血液量減少を3大症状とする症候群である.OHSS発生のリスクファクターとしては外因性あるいは内因性hCGの投与1),高濃度の血中エストラジオール(E2)値2)および多数の未熟発育卵胞3)があり,hMG製剤を使用した排卵誘発治療の際に発生しやすい.
hMG製剤を用いた排卵誘発治療の対象となるのは,大きく分けて①クロミフェン(CL)無効重度卵胞発育不全症,②体外受精を中心とした補助生殖技術(assisted reptroductive technology:ART)施行時の過排卵処理であるが,とくに近年はARTの普及によって後者の頻度が増してきている.ART時の過排卵処理の場合,とくにその適応が男性不妊症や卵管閉塞のときには,対象患者の卵巣機能は正常であることが多く,hMG製剤を使用した際にOHSSの頻度および重症度はより高くなると考えられる.
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