今月の臨床 排卵誘発の問題点—新しい工夫と対策
IVF-ET
1.OHSSの予防
神谷 博文
1
,
森若 治
1
1神谷レディースクリニック
pp.806-810
発行日 2001年7月10日
Published Date 2001/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904381
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はじめに
体外受精・胚移植(IVF-ET)の排卵誘発法にGnRHアナログ(GnRHa)併用調節卵巣過剰刺激法(COH)が導入されて以来,多数の成熟卵を得ることが可能となった.胚盤胞移植法を含めた良好胚移植数の制限や余剰胚の凍結利用などにより品胎以上の多胎の予防や妊娠率・生産率の向上はなされつつある.一方,hMG製剤を使用したCOHに伴う卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の発生頻度は増加している.OHSSは一旦発症し重症化すれば稀ではあるが腎不全,呼吸不全,血栓症など併発し致命的となる医原性疾患である.OHSSが重症化した場合,重症度,病期,病態生理に基づいた適切な治療が重要であるが,OHSSの発症機序,病因,病態生理,誘因などがいまだ十分解明されていないため,現況では対症療法,支持療法での自然回復を待つ経験的治療が主体で行われていると言って過言ではない.そこでもっとも重要なことは,OHSSの発症の予防である.とくに重症・危機的OHSSへの進行を回避し,その予防策は妊娠率を低下させずに行える効率の良い対処法であることが必要である.
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