今月の臨床 一歩先行く超音波胎児検診
妊娠中期
3.臍帯の異常—付着部位異常,過捻転,巻絡など
宇津 正二
1
1聖隷三方原病院産婦人科
pp.602-604
発行日 2001年5月10日
Published Date 2001/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904335
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はじめに
分娩後に観察できる臍帯の異常を表1に列記したが,これらの臍帯異常が直ちに臍帯血流障害から胎児異常の発症を意味する訳ではなく,切迫早産例の子宮収縮頻発時や分娩時には臍帯が圧迫や屈曲,牽引によって絞扼されて臍帯血流が障害され易いために胎児ストレスを招来する危険性の高いハイリスク群であると言うことである.従来の産科臨床では,このような臍帯血流障害のハイリスク例が分娩前から診断されていることは少なかったが,近年の経膣法やカラードプラ法など超音波診断装置の発達によって胎児異常や胎盤や臍帯の異常も出生前に具に観察できるようになってきたため,これからの産科妊婦健診における超音波スクリーニングでは,このような臍帯循環障害のハイリスク群である臍帯異常の出生前チェックをしておくべきである.さらに,一歩先行く超音波検診としては,そのような臍帯異常が実際に胎児異常を発症する危険度を推定したり,通常の妊娠経過中の母体の日常生活や子宮収縮,胎動などの臍帯血流への影響を評価して,胎児の安全のためにより綿密な産科管理や分娩戦略を構築することが望まれている.
本稿ではカラードプラ法で比較的容易に観察できる頸部巻絡や過捻転,卵膜付着などの臍帯異常を中心に,臍帯異常がもたらす胎児異常との関連や胎児異常発現の危険度の判定,産科的取り扱いについて述べる.
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