今月の臨床 婦人科医のための乳癌検診
疫学と発生
2.乳癌のリスクファクターは?
谷口 一郎
1
1大分県立病院産婦人科
pp.339-343
発行日 2001年4月10日
Published Date 2001/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904292
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はじめに
わが国の乳癌の罹患率,死亡率はともに世界の中でも最も低率といわれてきた.しかし昭和40年代からその増加傾向が著明となりつつある.平成10年における女性の乳癌の悪性新生物の死亡数は8,589人で,女性の悪性新生物死亡111,615人の7.7%を占める.これは肝・胆,胃,大腸,肺についで第5位であるが,女性の推定罹患率は厚生省のがん研究助成金による「地域がん登録」研究によれば,2015年にはトップになると推計されている1,2).
乳癌のhigh risk groupに関しては乳癌研究会3),富永ら2),黒石4)などの優れた総説が既にあるが,今回はその3編を中心に,また第10回日本乳癌検診学会シンポジウム(2000年12月,仙台)における新しい知見を含めて解説する.
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