特集 乳房
Topics
乳癌のリスクファクター
冨永 健
1
Takeshi Tominaga
1
1東京都立駒込病院外科
pp.555-561
発行日 1990年7月10日
Published Date 1990/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900123
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近年,わが国においても乳癌患者数の増加が明らかに認められており,婦人の癌の中ではまもなく第1位になろうとしている。乳房は体表にある臓器であり,乳癌の発見はまず腫瘤(しこり)として触知することに始まることが多いので,患者自身が早期に気付き得る数少ない悪性疾患のひとつである。しかし早期に発見される率はまだ決して高いとはいえず,我々の病院においてもStage II(腫瘤径2〜5cm)がもっとも多く56.5%であり,Stage IIIとIVをあわせると21%にも達する.早期癌であるStage Iは未だ20%程度である。
日本人の乳癌は手術後の予後が,欧米のそれにくらべてかなり良いことはよく知られているが,本疾患を克服するためには,まず早期発見であることは論をまたない。早期発見のための集団検診も各地で行われているが,到底,全国的に十分カバー出来るものでもない。
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